インドネシア発アップサイクル ・バッグブランド
UITBは、インドネシアの職人が一つひとつハンドメイドで作る、トラックタイヤのインナーチューブをアップサイクルしたバッグです。
インドネシアはジャワ島の東端にあるスラバヤという都市から、自動車で1時間ほど西へ進むとモジョケルト村があります。この村にUITBのアトリエがあります。
大きな工場で働けない女性を雇用

UITBのアトリエでは、オーナーのアンドレさんとは別に4名の女性が働いています。彼女たちは幼い子供の面倒をみなければならず、大きな工場で働くことができません。
UITBのアトリエでは彼女たちが見える場所で子供達同士で遊ばせていました。アンドレさんに聞くと「彼女たちは、アトリエの近くに住んでいる人たちなんだ」とのこと。大きな工場では子育てをしながら働くことができません。このアトリエでは、子育てをしながらでも働くことができるのです。

彼女たちは主に、生地のカッティング作業をしていました。型紙に合わせて目印を書き、それに合わせてハサミで切っていきます。
子供たちもしっかりと躾けられているのか、作業の邪魔をする様子はありませんでした。子供たち4人で、そのあたりを走り回ったり、踊ったりと、とても賑やかでした。
ちなみに、左の女の子がアンドレさんの娘さんです。ひとりの子が踊っていたので私も一緒に踊ると、みんな一緒に踊ってくれました。そのときの写真がこちらです。

縫製作業をするアンドレさん

縫製作業だけはアンドレさんの仕事です。一つひとつを丁寧に、慣れた手つきでミシンで縫い上げていきます。このとき、彼は小さなカードケースを作っていました。もちろん生地はトラックタイヤのインナーチューブです。
彼がトラックタイヤのインナーチューブをアップサイクルしたバッグを作るというアイディアを閃いたのは2014年のときでした。このとき、彼には縫製の技術は全くなかったそうです。その後、奥さんの協力も得ながら、死に物狂いで習得したとおっしゃっていました。

インドネシアで大量に破棄される日本製トラックインナーチューブ

UITBのバッグは、トラックタイヤのインナーチューブをアップサイクルして作られています。インドネシアで走るトラックの多くは日本製のため、トラックタイヤのインナーチューブも日本製であることが多いとのことでした。
トラックタイヤのインナーチューブは頑丈で耐久性が高く、防水性においても優れています。このトラックタイヤの特性を活かし、耐久性、防水性が高いバッグを製作しています。
破棄されたタイヤのインナーチューブですから、もちろん丁寧に洗浄しています。まず最初に、水と洗剤に浸して洗い、汚れを落とします。次に、化学薬品を塗布することで、インナーチューブをより黒く光沢のあるものへと仕上げていきます。まるで革のなめし作業のようですね。彼の作るバッグはまるでレザーのような美しい光沢を放っています。
UITBのバッグはすべてが一点もの
UITBのバッグはすべてが一点ものです。トラックタイヤのインナーチューブを用いているため、同じ模様の生地に出会うことはないからです。ぜひ、違いを見比べてみてください。



同じ黒でも、模様の入り方がどれもユニークなのがわかって頂けたのではないでしょうか。インドネシアで走っていた日本製のトラックで使われてきたインナーチューブが長い歳月の間、トラックのインナーチューブとして働いてきたからこそ、このような模様が入ったのでしょう。
また、数は少ないですが線や文字が入っているものもあります。こういったものも味わい深いですね。黄色と水色の線や、OCT 16と日付が入っています。


アンドレさんが作るバッグは、イギリス、ドイツ、オーストラリアで既に販売されています。また、NGOを通して、観光客が集まるバリ島などでも販売されています。
さいごに

作家のアンドレさん。そして、通訳をしてくれた友人のタントさん。おふたりは、空港からモジョケルト村まで送迎をして下さいました。

途中、文化遺産のCandi Bajang Ratuを案内して下さったり、一緒にランチやディナーを食べたり、とても優しくおもてなしをして下さりました。
そんなアンドレさんが作るバッグを、ぜひ一度ご覧いただければと思います。